”酸っぱい味”の効能
中医学では、食材でも生薬でも、5つの味=”五味”について考えます。
5つというのは、”酸・苦・甘・辛・鹹”。
鹹はわかりにくいですが、”塩辛い味”を指しています。
この五味はそれぞれ持ち味が違います。
”酸っぱい味”の効能は?
酸味の特徴としては、収斂・固渋・止瀉などの効果があると言われます。
平たく言うと、固めたり引き締めたりする効果。
イメージとしては、梅干しを食べたときの口を思い浮かべて…
こんな感じですかね?→ *(こんな口になる時ありませんか?)
きゅっと口を閉じるような感じ。
だから、
口が開いてしまって、だらだらと漏れ出るような症状、
例えば、尿漏れや頻尿、出血ぐせ、慢性的な汗などといった症状には、
漢方治療でもサンシュユやゴミシなど、酸味のある生薬が配合されることはよくあります。
ちょっと閉めてあげて、からだに必要なものがそれ以上出て行かないようにする、という感じです。
食材で言うと、
みかんや梅、トマト、レモンなどは酸味がありますね。
私が小さい頃、
おなかを壊して下痢が続いたようなとき
トイレから戻ってくると
母がよく”梅湯”を作ってくれました。
梅にお湯を注いだもので、梅をほぐしながら食べるのです。
今思うとこれは、”酸味”の力を上手に借りてたんだなぁと思います。
下痢で便と一緒に、体に必要な水分や”気”が出ていってしまったので、
それ以上出て行かないように、きゅっと閉めてあげる感じ。
なお、下痢が続くと脱水にも注意が必要ですが、
水分に加えて、梅干しで少し塩分を補えるというのも理にかなっていたのですね。
また、酸味と言えばレモンですが
思い出すのが母お手製の”はちみつレモン”。
(レモンの輪切りを蜂蜜で漬けたもの)
中学時代はテニス部だったのですが、試合などの日にはよく持たせてもらいました。
炎天下で大量の汗をかいたあと、この甘酸っぱいはちみつレモンがとても美味しかった。
これもまた、大量に汗をかいて、まさに”気”と”水”が出てしまったときに、
きゅっと閉めてあげて、それ以上発散するのを抑えるのに役立っていたのだと思います。
甘酸っぱいものは失われた”潤い”を効果も期待できます。
酸味のあるものは少し体を冷やす効果もあるので、
暑い中で頑張っていたからだは、こういうものを欲していたのかもしれません。
酸味を摂りすぎた場合は、
消化が悪くなったり、冷えが強くなることがあるのですが、
自分のからだが必要としているときに、必要な分を補ってあげるときっとからだは喜ぶはず。
ざっくりと”味の持つ効能”を知っておくと、
からだのバランスが取りやすくなります。
著書を出版しました。
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