冬の敵!寒邪ってどんなやつ?

寒い日が続いています。


寒くなるとどうも調子が悪い・・・という方も

いらっしゃるかもしれません。


わたしたちのからだはこの「寒さ」にも多く影響を受けます。


この「寒さ」がからだに不調を招く病因を

中医学では「寒邪」といいます。


以前、少しだけ「寒邪」について触れました。

今日はさらに詳しく「寒邪」について書いていきますね。


「寒邪」には「凝滞」「収引」という特徴があります。


「凝滞」は滞るということ。

何が滞るのかというと、気血の運行です。

そもそもからだの中で、気(生命エネルギー)や

血(からだを栄養し潤すもの)がスムーズに巡っていることが大事なのですが、

「寒邪」の影響でこれらがスムーズに運行できなくなります。


「気」にはからだを温める力があるので、これが行き渡らないと「冷え」てしまうし、

特に指先や足先まで行き届かないことでしもやけができたりする。


「血」の巡りが悪いことを「お血」と言いますが、このお血があると、痛みが出たりする。

「お血」で起こる痛みは「刺痛」「固定痛」という特徴があって、

「刺すような痛み」「まさしくここが痛いと指で指し示せるような痛み」であることが多いとされています。

(痛みの場所がどんどん変化するような場合はまた別の原因があるということです)


寒くなってくると痛みが強くなる傾向にあるのは、この「お血」の影響も受けやすいから。

「通ざれば則ち痛む」といって、

「きちんと通っていないと(流れていないと)痛みが出る」と言われてきました。


寒くなると「寒邪」の影響で気血の巡りが悪くなるので、

しっかりからだを温めて、巡りをよくすることが大事になってきますね。


「収引」は収斂のこと。ちぢまる感じ。

汗を出す穴がちぢまるから発汗が減り、経絡(気血の通り道)や

筋脈が収斂するから痛みがでたり筋肉がひきつったりする。

血管がちぢまって血圧が上がりやすくなったりもします。


寒いと知らず知らずのうちにからだを縮めて歩いていたりしませんか?


からだの内側でも、いろいろな部分をちぢめています。

それは自然な反応でもあるのですが、からだのあちこちが収れんすることによって出てくる不調もある。


この季節に、普段気にならない筋肉のひきつりや痛みが出ていたら、

それは「寒邪」による影響かもしれません。


「寒邪」が悪さするスキを与えないようにするためにも、しっかり防寒、保温したい季節です。





これまで何回かに分けて

冬の養生についての記事を書いてきました。


寒い冬に、寒さから身を守ろう!というお話は

どれも当たり前のことばかりだったかもしれません。


だけど、その「当たり前」の中に

長い歴史の中で築かれた叡智がある、ということを

忘れないようにしたいと思っています。


そして、「当たり前」だと感じるということは、

もともと体感的に「からだが知っている」ということ。


わたしたちはちゃんと「自分がどうあれば心地いいのか」答えを知っていて、

それを少し引き出してあげるような、薬膳は

そんな学問だとも思っています。


現代では冬の寒い時期でも冷たい飲み物が簡単に手が入ります。

寒くてもつい、からだを冷やす習慣を続けていたりします。


たくさん選択肢のある中で、どうしたらもっと季節と寄り添っていけるのか、

考えるきっかけになるといいなと思います。


著書を出版しました。

こまさんちの薬膳教室

こころとからだと、 季節はひとつ。 こまさんちの 読むだけでわかる薬膳レッスン